金沢を満喫する21章

第8章

週末出かけたい美術館

金沢日和

石川県内に点在する特色ある美術館を一挙にご紹介します。
好奇心を満たし、心を潤すアートな週末を過ごしませんか。
何度でも足を運びたくなるスポット、二度目の観光にもおすすめです。

カメラマン

金沢21世紀美術館

金沢21世紀美術館

アートと人との新しい関係を提示する、開かれた美術館。

 東西南北のどの方向からも入りやすい、開放的なガラス張りの円形建築。「まちに開かれた公園のような美術館」を建築コンセプトとし、2004年10月の開館以来、斬新な企画を次々に実施し、中心街に賑わいをもたらしてきた。
 『タレルの部屋』『レアンドロのプール』(ともに通称)をはじめ、美術館の建物と一体化した作品が多くあるのが特徴だ。同館は街の人々に、美術と鑑賞者の新しい関わり方を提示したといえる。
 収蔵品は、1980年代以降の国内外の現代美術を中心に約3,700点を数える。特別展、コレクション展ともに、同時代の作家による新たな価値観を示す作品を紹介している。

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石川県金沢市広坂1-2-1 TEL.076-220-2800 開/展覧会ゾーン10:00~18:00(金・土曜は~20:00)、交流ゾーン9:00~22:00 休/月曜(祝日の場合は翌日)、年末年始 料/展覧会により異なる P/指定P割引あり
http://www.kanazawa21.jp/

石川県立美術館

石川県立美術館

石川県ゆかりの名品が分野を問わず一堂に集結。

 前身は、国宝の『色絵雉香炉』をはじめとする古美術品を展示していた旧石川県美術館。地元の声の高まりを受け、1983年、あらゆるジャンルを網羅した美術館として再出発した。以来、前田育徳会所蔵の加賀藩に伝わる文化財から、古九谷などの工芸品、明治以降の絵画や彫塑まで、石川県にゆかりのある名品が一堂に会する場となっている。展示室を回れば、県内の美術文化の水準の高さを実感することができる。
 2008年に大規模な改修工事がおこなわれ、ロビーが明るく、バリアフリーが徹底された美術館に生まれ変わった。また、パティシエ・辻口博啓氏のパティスリー&カフェ『ル ミュゼ ドゥ アッシュ KANAZAWA』が併設している。

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石川県金沢市出羽町2-1 TEL.076-231-7580 開/9:30~18:00(入館は17:30まで) 休/年末年始、展示替え期間 料/コレクション展示 大人360円、大学生290円、高校生以下無料 ※企画展は別途必要 P/あり
http://www.ishibi.pref.ishikawa.jp/

金沢市立中村記念美術館

金沢市立中村記念美術館

粋人の美術愛好の精神と当地の茶の湯文化を伝える。

 1966年に、『中村酒造』の四代目、中村栄俊氏が立ち上げた私設美術館が始まり。旧家の出で茶人でもあった氏は、「美術品は一個人のものでなく国民の宝である」との信念から茶道美術の蒐集に情熱を傾けた。後に金沢市が運営するようになり収蔵品は毎年増えているが、氏が揃えた道具類の価値の高さは今もひと際光る。一人の財界人が美術館の設立という偉業を成し遂げた事実は、土地に息づく美術愛好の精神を物語る。
 茶道具や金沢の工芸美術を中心とするメインの展示は、新館で。かつて展示棟だった「旧中村邸」も、茶会や催事の場として公開されている。

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石川県金沢市本多町3-2-29 TEL.076-221-0751
開/9:30~17:00(入館は16:30まで) 休/年末年始、展示替え期間
料/大人300円、65歳以上200円(祝日は無料)、心身に障害のある方200円(祝日・障害者の日は無料)、高校生以下無料 P/あり
http://www.kanazawa-museum.jp/nakamura/

大樋焼本家十代長左衛門窯・大樋美術館

大樋焼本家十代長左衛門窯・大樋美術館

作品に宿る侘びの心を感じ、大樋焼の長い歴史を辿る。

 大樋焼の起こりは約350年前に遡る。五代加賀藩主が裏千家の千仙叟宗室を招いた際、同行した京都の陶工、長左衛門が金沢近郊の土で仙叟好みの茶器を作ったのが発祥だ。以来、歴代の長左衛門がそれぞれに個性を発揮しながら、大樋焼は金沢の茶文化とともに育まれてきた。
 初代から十代、次代を担う年雄氏の作品まで、大樋焼の優品を集めた美術館は1990年に開館。手捻りの成形や飴釉の素朴な仕上がりは、茶道における侘びの精神を感じさせる。
 建築家 隈研吾氏の設計による大樋ギャラリーでは、十代と年雄氏の作品を購入することもできる。

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石川県金沢市橋場町2-17 TEL.076-221-2397
開/9:00~17:00 休/展示替え期間
料/大人700円、中学生以下500円 P/あり
http://www.ohimuseum.com/

白山市立松任中川一政記念美術館
白山市立松任中川一政記念美術館

白山市立松任中川一政記念美術館

生きて躍動するタッチを追求した、多才な芸術家の全貌に迫る。

 生命力溢れる力強い画風で知られる中川一政は、母親の生家があった加賀の地を幼少の頃から訪れていた。この縁あって、旧松任市が画伯本人からの寄贈を受けて美術館を設立。油彩のみならず岩彩や書画、陶芸なども展示し、氏の多彩な創作活動を紹介している。全て独学で躍動感豊かな表現を追求した芸術家の、画業77年を俯瞰することができる。
 メイン展示室を他の展示室が取り囲むように造られたユニークな建物は、氏が長い間描き続けた薔薇の花をモチーフにしたもの。氏が手がけた挿画や装丁などを集めた別館では、窓の外に広がる庭園も見ものである。

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石川県白山市旭町61-1 TEL.076-275-7532
開/9:00~17:00(入館は~16:30) 休/月曜(祝日の場合は翌日)、年末年始
料/大人200円、高校生100円、中学生以下無料
P/あり

浅蔵五十吉美術館

浅蔵五十吉美術館

名工の九谷現代化への漲る想いを今に伝える。

 九谷の産地、旧寺井町に生まれ、父親から陶技一般を習得し、初代・徳田八十吉や北出塔次郎に師事。伝統的な九谷焼を継承しつつ新たな工夫を重ね、現代感覚が生きた独自の世界を拓いた二代浅蔵五十吉。10年周期で新様式に挑戦したバイタリティーに溢れた作家で、県内の陶芸家では初の日本芸術院会員に就任、九谷焼関係者で初めて文化功労者として顕彰され、文化勲章も受章した。
 同館では九谷の現代化に果敢に挑んだ氏の軌跡を紹介。本人の希望により実現したガラスケースのない展示室で、大胆な作品の数々が名工の情熱を褪せることなく伝えてくれる。

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石川県能美市泉台町南1 TEL.0761-58-6789
開/9:00~17:00(入館は16:30まで) 休/月曜(祝日の場合は翌日)
料/大人510円、高校生以下300円 P/あり
http://www.kutaniyaki.or.jp/

小松市立宮本三郎美術館
小松市立宮本三郎美術館

小松市立宮本三郎美術館

昭和画壇に大きな軌跡を残した巨匠の偉業にふれる。

 戦前は二科会に所属、戦後は二紀会の設立に携わり、昭和洋画壇を代表する一人として活躍した宮本三郎。画家として生涯の多くは東京を拠点としたが、故郷・小松にも終生変わらぬ愛情を注ぎ続けたという画伯の美術館が、母校の旧小松中学(現石川県立小松高等学校)近くにある。
 氏の遺族より寄贈された101点を中心に、油彩、素描、水彩、版画など180点余りを収蔵。テーマに添った企画展のみをおこなっており、優れた描写力を心ゆくまで堪能したい。

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石川県小松市小馬出町5 TEL.0761-20-3600 開/9:00~17:00(入館は16:30まで) 休/年末年始、展示替え期間
料/一般400円、大学生200円、高校生以下無料 P/あり
http://www.kcm.gr.jp/miyamotosaburo/

小松市立本陣記念美術館
小松市立本陣記念美術館

小松市立本陣記念美術館

地元コレクターが蒐集した質の高い日本美術を鑑賞。

 小松市の中心地、緑豊かな芦城公園内に佇む同館は元北國銀行頭取で、県内の美術館や文化財関係機関の役員も歴任し、美術界に尽力してきた本陣甚一氏のコレクションを収蔵・公開している美術館である。
 氏は故郷の芸術文化の発展を願い、およそ40年かけて蒐集した美術品を同市に寄贈し、1990年に開館した。氏の没後、遺族から寄贈された作品が加わり、900点を超える作品を収蔵する。
 古九谷をはじめとする陶磁器、加賀蒔絵など漆工、近現代の日本画、小堀遠州所持の茶道具など、優れた日本美術に様々な角度から光を当てた企画展を開催している。

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石川県小松市丸の内公園町19 TEL.0761-22-3384
開/9:00~17:00(入館は16:30まで) 休/月曜(祝日を除く)、祝日の翌日、年末年始、展示替え期間 料/一般300円、高校生以下・65歳以上は無料 P/あり
http://www.kcm.gr.jp/honjinkinen/

石川県九谷焼美術館

石川県九谷焼美術館

地域が誇る財産、九谷焼の色絵の美を紹介する専門館。

 「土地の財産をいつも見られる場が欲しい」という市民運動に後押しされ、2002年、地域待望の九谷焼専門館として開館。大聖寺藩九谷村に起こった古九谷や、後の九谷諸窯による色絵磁器を多数所蔵している。
 中庭を囲む3つの部屋では、青手、色絵五彩手、赤絵金襴手といった様式別の陳列方法を採用した。それぞれ趣の異なる展示室を巡ることで、色絵の魅力が総合的に実感できる。写実的な描写から抽象柄、細密画まで、高貴な人々の器として誕生した九谷焼には実に様々な色絵が描かれた。館内を一周した頃には、その奥深さに魅了されているはずだ。

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石川県加賀市大聖寺地方町1-10-13 TEL.0761-72-7466
開/9:00~17:00(入館は16:30まで) 休/月曜(祝日の場合は開館)
料/大人500円、75歳以上250円、高校生以下無料 P/あり
http://www.kutani-mus.jp/

角偉三郎美術館
角偉三郎美術館

角偉三郎美術館

国内外で高い評価を得る漆工芸家の作品世界に浸る。

 装飾品や美術品ではなく、暮らしに密着した漆を世界に広めた漆工芸家、角偉三郎。「漆は使って育てるものであることを知って欲しい。肌で触れ、漆のぬくもりを感じて欲しい」。日常の漆を提案し続けてきた氏のそんな創作への思いは同館の設計にも表れ、漆の風合いを間近に見つめ、その匂いを感じられる、ショーケースがほとんどない美術館となっている。
 終生郷里・輪島にあって、伝統を踏まえつつも漆器の新たな可能性を独自の感性で切り拓いてきた氏。能登の海や空を借景とした展示空間に身を置き、当地の豊かな風土の中で育まれた独特の作品世界に浸りたい。

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石川県七尾市和倉町ワ部65-1 TEL.0767-62-4000
開/8:00~17:00(入館は16:30まで)
休/なし 料/無料 P/あり
http://www.kagaya.co.jp/le_musee_de_h/kado/

石川県七尾美術館
石川県七尾美術館

石川県七尾美術館

地元から海外まで。優れた美術を紹介する芸術の拠点。

 室町時代には能登畠山氏の城下町として畠山文化とも呼ばれる京風の文化が開花し、桃山美術の画聖と讃えられる長谷川等伯を生んだことでも知られる七尾市。同館は当地に息づく文化的素地を礎に、多くの人に国内外の優れた美術品と接する機会を提供し、未来の作家を育てる場ともなればと開館した総合美術館だ。
 春の長谷川等伯展と同様、1998年以降、毎年開催されている秋の「イタリア・ボローニャ国際絵本原画展」は今や同館の看板企画となり、日本海側で唯一の開催ということもあって好評だ。今後も、地方色と国際色を兼ね備えた芸術文化の基地として注目したい。

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石川県七尾市小丸山台1-1 TEL.0767-53-1500
開/9:00~17:00(入館は16:30まで) 休/月曜(祝日の場合は翌日)、祝日の翌日(土・日曜の場合は除く)、展示替え期間、年末年始 ※展覧会によっては会期中無休 料/企画展によって変動
P/あり http://nanao-art-museum.jp/

石川県能登島ガラス美術館
石川県能登島ガラス美術館

石川県能登島ガラス美術館

宇宙基地のような空間で、ガラスの新たな魅力を発見。

 世界的なガラス工芸の中心地、ヴェネチアが沖合いの島でガラス製造をしていることに倣い、1984年、能登島にガラス工房を誘致。続いて「ガラス工芸が息づく島」として中核となるべく、七尾湾を見渡す高台に開館したのが同館である。各国の現代ガラス作家の作品や、ピカソやシャガールなど著名な芸術家たちのデザインに基づき、イタリアのガラス工房で制作されたガラス彫刻作品、中国清朝時代のガラス工芸品といった世界の貴重なガラスアートを収蔵。さらに、年に数回、趣向を凝らしたテーマで企画展を催し、ガラスの奥深い魅力に気づかせてくれる。

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石川県七尾市能登島向田町125部10 TEL.0767-84-1175 開/9:00~17:00(12月~3月は~16:30。入館はいずれも30分前まで) 休/第3火曜(祝日の場合は翌日。8月は開館)、年末年始、展示替え期間 料/大人800円、中学生以下無料 P/あり http://nanao-af.jp/glass/

石川県輪島漆芸美術館
石川県輪島漆芸美術館

石川県輪島漆芸美術館

漆芸の町・輪島より、漆の奥深い魅力を発信。

 世界で唯一の漆芸専門の美術館である。高級漆器・輪島塗の産地として有名な当地から、輪島の漆芸の魅力はもちろん、未来に向けた新しい漆文化の発信基地でありたいと、1991年にオープンした。
 随所に漆を施した館内には、堅牢優美で知られる伝統的な輪島塗から、人間国宝や芸術院会員を始めとする現代漆芸作家の意欲に満ちた作品などを紹介する展覧会を開催。漆の深い輝き、精緻な装飾と向き合うひとときは、「ジャパン」とも呼ばれ、日本が世界に誇る優れた工芸の一つである漆芸の無限の可能性をも感じさせてくれる。

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石川県輪島市水守町四十苅11 TEL.0768-22-9788
開/9:00~17:00(入館は16:30まで) 休/年末(12/29~12/31)、展示替え期間 料/大人620円、高大生310円、小中生150円 P/あり
http://www.city.wajima.ishikawa.jp/art/

南惣美術館
南惣美術館

南惣美術館

往時の繁栄ぶりを物語る奥能登の私設美術館。

 古くから徳川幕府の天領として栄えた奥能登の旧大野村。当時この付近一帯の大地主であり、庄屋だったのが南家である。屋号を「南惣」といい、アテの木を始めとした木材、農産物、木炭、塩などの交易を中心に、総合商社的な役割を果たし大きな財を成したという。同館では文化の移入を尊び、美術、茶道を愛好した歴代の当主が長年に亘って収集した多くの美術工芸品を公開している。
 中には宮中に新穀を献上し拝領した品や、明治期の東本願寺阿弥陀堂再建の折に大量の欅材を献納したことで拝領したものもあるとか。往時の繁栄ぶりを感じつつ、観賞したい。

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石川県輪島市町野町東大野ク-100 TEL.0768-32-0166
開/8:00~17:30 休/なし
料/大人700円、小中生400円 P/あり
http://www.wajima.gr.jp/nansou/

Event

街中の自然溢れる広坂界隈の散策を通じて、心豊かな時間を過ごしていただければ幸いです。

金沢を満喫する21章

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