創業から28年を数える金沢のイタリア料理店の草分け的な存在。イタリア料理がこれほどまでに浸透し、定着する以前より、金沢で本物を追究し提供し続けてきた名店である。店は現地へと移転した際、外観こそ随分と趣を変えてしまったが、「もとからそこに在った、というものにしたかったんです」というオーナー中澤一夫さんの言葉どおり、周囲の風景には不思議と馴染み、親しげな雰囲気さえ醸しだしている。
近年は娘婿の小関シェフが厨房に入り、同店の歴史に新たな風を呼び込んでいる。氏は東京の『カーザ ヴィニタリア』等の他、イタリア・ピエモンテでの修業経験も有する注目株。「金沢は食材が豊富で、市場へ仕入れに行くのも楽しい。やりがいがありますね」と目を輝かせる。トラディショナルなイタリア料理が好き──と語り、近江町で仕入れる新鮮な食材を主体に、軽やかな感性で多彩な料理を手掛ける。従来の味も守りつつ、普段使いのできる身近なイタリア料理を届けたいと意気込む、新生『エバンス』。新しい感動に出合えるはずだ。