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【松尾栗園】糖度36度!能登栗の甘さを最大限に引き出す栗農家のこだわりとは

2023年10月27日(金) | テーマ/エトセトラ

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秋といえば、栗が美味しい季節。能登半島の輪島市に栗の生産から加工・販売までを行っている松尾栗園がある。焼いた栗の甘さは糖度が36度。市販されている甘栗と違って砂糖を一切使わず素材の味を大切に作られており、1kg6,500円と高価格にも関わらず、全国から注文されている。そんなこだわりの栗づくりの秘訣を代表の松尾和広さんに伺った。

「栗はほったらかしても実がなるため、米作や畑作の合間に行う兼業農家が多いのですが、うちは品質にこだわり、一刻も早い収穫と選果、貯蔵のために専業農家として行っています。焼き栗の甘さの秘訣は栗が持つデンプン質にあり、いかに糖化させるかが重要なんです」と松尾さん。光合成によりデンプン量が増えるため、木を低くし日当たりを良く栽培。落果した栗自体の呼吸熱により糖分を消費しないよう早朝に栗拾いを行うのがポイントだ。

一般的な栗は糖度10度のところ、同園の栗は糖度12度もある。そこからどのようにして焼き栗の糖度36度まで高めているのだろうか。その重要な工程の1つが「熟成」だ。栗のデンプンを糖化させ、甘さを引き出すため、収穫・選果したその日の内に、−2度の冷蔵庫へ。そこから45日間低温熟成させる。栗は気温0度以下から糖化が始まるが、−3度以下では細胞破壊により味が劣化してしまうそう。ゆっくり時間をかけて低温熟成をすることで糖度24度以上の甘さを引き出すのだ。

糖度を高めるもう1つの工程が「焼き」。低温熟成が終わるとさらに選果をし、圧力式回転釜で蒸し焼きに。栗の実の水分だけで焼き上げるため旨味を逃がさず、ほくほくの焼栗となる。しかも、熱を加えることで酵素が働き、糖度は36度まで高まるそう。

品質を高く保つには、若手スタッフの存在も大きい。驚いたことに、10年以上前から同園には全国からアルバイトの若者が集まる。栗の品質を保つために素早い作業が求められるが、少子高齢化が進む能登の地では人材確保が難しく、インターネットで若手の農業アルバイトを募集。9月~10月の収穫時期に合わせて毎年10名ほどが集まり、3食まかない付きの住み込みで作業にあたるのだとか。


松尾栗園の栗はオンラインショップでの通信販売が主体。毎年楽しみにしている全国のリピーターも5割と多く、より良い品質を目指していきたいと意気込む。

「栗のすごいところって、冷やして美味しくなる酵素と加熱することで美味しくなる酵素のどちらもあること。そのポテンシャルを最大限に引き出し、美味しい栗を届けていきたい」と話してくれた。

松尾栗園の熟成焼栗が発売されるのは9月〜11月末まで。栗の収穫が終わっても次の収穫に向けより良い栗を作るために、栗の木の手入れや苗木の植樹、肥料を撒き土づくりをしたりと、年間200日間は農園で過ごしているのだとか。

手間暇を惜しまず栗を育てているからこそ、高単価の焼栗の製造・販売に成功している松尾栗園。奥能登の名産の1つである能登栗が、今後ますますその名を全国に轟かせるのも近いだろう。

住所/石川県輪島市町野町粟蔵ニ80-10
電話番号/0768-32-1305
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※掲載されている情報は、2023年10月27日以前に取材した内容です。時間の経過により実際と異なる場合があります。

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