兼六園の向かいに新施設。文化財の修復作業を無料公開。
2016年5月2日(月) | テーマ/観光

兼六園の向かい、『石川県立美術館 広坂別館』隣に『石川県文化財保存修復工房』が誕生しました。『石川県文化財保存修復工房』は平成9年に発足しましたが、建物の老朽化に伴い、新築移転することとなりました。
オープンに際し、ふだんは非公開のエリアを含めて館内を案内していただく機会がありましたのでレポートしたいと思います。
文化財を後世に遺すには修復技術者の育成と環境が必要になります。この新施設には国立の修復施設に比較しても倍の修復室を設けてありますので、石川県のみならず全国の文化財保存と修復に期待されるでしょう。また文化財の修復作業を無料で、なおかつ予約を必要とせず一般公開する、全国にもない施設となるそうです。
間仕切りによって仕切られた2つの修復室では気温20℃、湿度60%を基本とした環境の中、掛軸、屏風、襖、額、冊子等を修復します。大きな作品には間仕切りを取り外して倍のスペースで修復作業にあたれるようになっています。
【漆工芸品修復室】
さらに漆工芸品の修復室も新設されました。漆工芸の修復には最高級の漆を使用するのですが、扉を開けただけで漆にかぶれてしまう人もあるとのこと。
ガラスの向こうから見学するのでかぶれる心配はなさそうです。
【修復工房ガイダンス室】
修復作業の工程を映像やパネルで紹介しています。
過去の修復事例を映像で見ることができます。
【撮影室】
(非公開エリア)
修復の前後の記録をとるための、作品を撮影するスペース。
カメラの光でさえも傷んでしまう文化財に負担がかからないように撮影します。
【糊保管庫】
(非公開エリア)
修復に使われる糊は粘着力が強すぎてはいけませんが、適度な粘着力も必要。
修復のための糊をつくるためには10年以上の時間が必要になるため、年代別に糊の保管をしてあります。
オープン当日は石川県知事はじめ、多くの関係者、来賓が集まってテープカットが行われました。
『石川県文化財保存修復工房』は『石川県立美術館 広坂別館』と同じ入口です。
文化施設が多い兼六園エリアには緑が一杯で、散策も楽しいですよ!
兼六園エリアにお出掛けの際はぜひ。
■石川県文化財保存修復工房
(石川県立美術館 広坂別館隣)
石川県金沢市出羽町1-1
開/9:30〜17:00(入館は16:30まで)
※修復工房ガイダンス室と見学スペースは入場無料
休/年末年始
TEL(076)221-8810(広坂別館)
http://www.ishibi.pref.ishikawa.jp/
http://test.kanazawabiyori.com/shop/shop_1218.html
その他の同じテーマ記事
温泉、景観、美食でおもてなし。新たな魅力が加わった「海のリゾート・和倉温泉」に注目。
石川県を代表する温泉地として、県内はもちろん全国でも高い知名度を誇る「和倉温泉」。温泉街周辺は、足湯(続きを読む)
まさに花見の特等席! 建築家 隈研吾氏が設計した『茶屋 見城亭』に注目。
1913(大正2)年、兼六園の桂坂口近く、百間堀を挟んで金沢城・石川門を臨む場所に『見城亭』は誕生し(続きを読む)
金沢で最も大きな茶屋建築『懐華摟』が、撮影スポットとして話題に。
築200年、金沢で最も大きな茶屋建築の『懐華摟』。その中は、鮮やかな朱塗りの階段をはじめ、豪華絢爛な(続きを読む)
金沢といえば加賀宝生! 全国から女性能楽師が集まって金沢で公演 幽玄な舞台「杜若」を鑑賞しました!(動画あり)
11月に石川県立能楽堂で開催された「女性能楽師による能楽公演事業 第二回 能における節供と花々」(沢(続きを読む)
キモノでおでかけ金沢さんぽ 竹久夢二スペシャルイベント 当日レポート
絵画、デザイン、詩など様々な分野で活躍したマルチアーティスト竹久夢二(1884-1934)。その夢二(続きを読む)
【10本の特集を公開】魚介/寿司/海鮮丼/のどぐろ/名物料理など
「金沢日和」では大型連休のシーズンに向けて、10本の特集を公開しました。行楽シーズンのお出かけにご活(続きを読む)
九谷焼の自動販売機が「九谷茶碗まつり」に初登場
日本全国から約19万人の来場者が訪れるという「九谷茶碗まつり」。その人気のイベントに、今年始めて九谷(続きを読む)
ツツジが見ごろを迎えます。
ゴールデンウィーク目前。彦三緑地(金沢市彦三町1丁目)ではツツジの見ごろを迎える時期です。 日(続きを読む)