観光情報サイト 金沢日和

金沢観光/グルメ/イベント|地元編集者のとっておき情報

石川や金沢、加賀、能登のおすすめ情報を地元編集者が地元のトピックスを中心に、へぇ、そうだったのか、とか、これは役にたつ!などの情報をお届けします。

【中島アグリサービス】伝統野菜の中島菜を生産し、年間を通して雇用を生み出す農家のブランディング

2023年12月26日(火) | テーマ/エトセトラ

〈 農援ラボとは… 〉
地元の農産物にこだわる飲食店や、未来の農業の担い手など、WEBを通じて北陸の農業と食への探求を情報発信することで、北陸の農と食を応援するオンラインメディアです。

農援ラボのHPはこちら

江戸時代から続く能登の伝統野菜・中島菜を生産し、農業を通じて地域の活性化を行っているのが『中島アグリサービス』だ。旬が短い中島菜を多くの人に楽しんでほしいと「中島菜うどん」や「中島菜そうめん」、「中島菜粉末」などの加工品も開発。冬季は牡蠣料理の店を運営し、年間を通じた安定的な収入を確保する経営方針について代表の松田全史(たけし)さんに話を伺った。

食品卸や小売業の会社で働いていた松田さんが、農家へと転身したのは45歳の時。元々週末のみ小さな田んぼを管理していたが、農業機器を共同で使用する機械利用組合を有志で立ち上げたことで、使用されていない田んぼの管理や地元の特産品でもある中島菜を生産していこうと本格的に農業の道へ進む決意をしたという。

中島菜は、からし菜によく似た苦みと⾟みが特徴で、ビタミンCやカルシウムが豊富。⾼⾎圧や発がんを抑制する効果のある成分を含む機能性野菜としても注⽬を浴びていた。ただ、旬が冬から春先と短く、安定的な収入を確保するために、中島菜の粉末化に着手したのだそう。中島菜のほとんどは水分のため、乾燥させるに苦労したが、森林組合で使わなくなった椎茸用の乾燥機に着目し、試行錯誤しながらも安価で鮮やかな緑色の粉末を作ることに成功した。

当初は粉末のみ販売していたが、評判を呼び、うどんやそうめん、パスタなどに中島菜の粉末を練りこんだ加⼯⾷品の商品化にも取り組んだ。「若い人にも中島菜の魅力を伝えたい」とパッケージデザインを金沢のデザイナーに頼み、刷新。贈り物にも良いと喜ばれている。生産量自体が少なく、まとまった量を出せないこともあり、近隣の道の駅や贈答用に使えると地元の饅頭屋などで販売している。「今まで中島菜は味噌汁や漬物として地元で食べられることがほとんどでしたが、加工することで食べ方の幅を広げ、多くの人に味わってもらう機会を作りたい」と松田さん。自然豊かな土地で育った作物や中島菜のおいしさを伝えるため、地元の子どもたちに食育活動も行っている。

そんな松田さんは、現在「七次産業化」に取り組んでいる。中島地域はもともと牡蠣の養殖で有名。中島菜の他に水稲を行っている中島アグリサービスでは、農作業がない冬季に牡蠣養殖をはじめとした漁業に生業を切り替え、地域の⼀次産業同⼠が⽀え合う仕組みを強化している。生産である一次産業に、加工である二次産業、流通の三次産業を掛け合わせ、そこに漁業といったもう一つの産業を足した。「農業ができない時は漁業で、漁業ができない時は農業で、とリスク管理にもなるんです」。飲食店には、多い時で月に1,000人ほどが牡蠣を食べに訪れ、冬場の重要な収入源となっている。

こうした取り組みが可能なのは、中島の地域の特徴でもある。農業の閑散期に漁業者は牡蠣の養殖で忙しい。「冬の仕事を作り、いかに年間雇用で経営を成り立たせていくかが大事です」。中島菜や米農家だけではなく、牡蠣という地域の特産品に注目し、漁業者との関わりも持つ松田さん。今後の一次産業の在り方のヒントがここにはあった。


住所/石川県七尾市中島町浜田5-33
電話番号/0767-66-1579
公式サイトはこちら

※掲載されている情報は、2023年12月26日以前に取材した内容です。時間の経過により実際と異なる場合があります。

おすすめ情報

能登日和

能登日和 ≫

お仕事日和

お仕事日和 ≫
掲載記事・写真・図表等の無断転載を禁止します。また一部の画像は石川県及び金沢市提供の写真を使用しています。
(C) 2024 金沢の観光やグルメ 金沢日和 kanazawabiyori