【進学コンシェルジュの進路相談】 少子化時代における今どきの学校の選び方、塾の選び方 (第4回)
高校全入時代で危惧される子どもたちの受験意識の低下。
少子化による急速な人口減少で危惧される子どもたちの受験意識の低下。県内の塾関係者たちも子どもたちの学習意欲の低下に不安な顔を覗かせる。
中学校卒業者の高等学校進学率が99%に迫る現在、少子化の影響と子どもたちの選択の多様性に対応できず魅力が低下し定員割れを起こす公立高校も激増している。
令和5年度石川県公立高校入試の確定倍率は全県合計で見ると1.01倍。ちなみに、出願者が定員を超えた高校は、小松、野々市明倫、金沢錦丘、金沢泉丘、金沢二水、金沢伏見、金沢商業、県立工業、金沢桜丘、金沢西、金沢北陵、羽咋、七尾、鹿西、金沢市立工業の15校にとどまった。
石川県でもすでに高校全入時代に突入しているのである。ひと昔前、まだ石川県公立高校が学区で分けられていた頃の区分で見れば、県南地区などでは定員割れをしていないのは小松高校だけである。中には、民間の企業で考えれば経営破綻状態の高校も見られる。
多くの公立高校では、受験倍率が1倍を割り込んでしまい、点数という部分で見た高校受験が意味をなさなくなってしまっている。そんなにがむしゃらに受験勉強をしなくても、ほどほどに頑張っていれば高校へ入れてしまうのである。
受験生の親世代にまだまだ根付く、【普通科信仰】、【学歴重視】、【偏差値偏重】。
そして、YouTubeなどの動画視聴やSNSなどの影響でどんどん受け身的になってきている令和の受験生たち。予測不能な未来が連続する現代、本来であれば、彼ら彼女らこそが自分の進路を主体的に選択し高校受験を通して自らの学びを主体性のあるものに変化していかなければならない。
「とりあえずは、大学へ行って欲しい。」
「就職のためにも4年制大学に行って欲しい。」
そんな言葉が免罪符となり、子どもの普通科進学をあおった結果、小学校中学高校と12年間続く受け身の学び方と、大学や受験、そしてこれからの社会で求められる主体的な学びとに大きなギャップが生じてしまうこととなる。
例えば、公立高校本命での受験を考えたときに、滑り止め程度に見てしまう私立高校に対する受験生の意識が向くのは合格率ぐらいでしかない。しかも、中学校の先生の言うとおりにさえしていれば、石川県の私立高校受験では不合格になるという前提がほとんどないため、大半の受験生が私立高校のことをまともに調べようともしない。
しかし、考えてみて欲しい。受験では「合格」か「不合格」しかない。すなわち、私立高校も公立高校も入学する確率は、それぞれ50%なのである。入学する確率が50%もある進学先のことを入り口の入試でしか知らないというのはなんとも受け身なことである。
特に、私立高校では公立高校普通科に比べ特色を明確に打ち出しているところが多い。
金沢学院大学附属高校に見られる大学の先取り教育、北陸学院高校に見られる短期長期の海外留学のチャンス、海外からの留学生が多く在学し国際的視野を伸ばす日本航空高校など、それまでの義務教育の9年間とは違った、様々な挑戦や経験のチャンスがそこにはある。
部活と勉強の両立を掲げつつも、これまでの義務教育とそんなに変りない学校生活で受け身になりがちな高校3年間を続けてよいものだろうか。特に、この3年間で何を考えどんなことに挑戦したかで、子どもたちの伸びしろが大きく変わるといっても過言ではない。
自らの選択による進学で重要になるのは、これまでにも私が強調してきた『学校の教育価値』である。私立公立問わず、学校の持つ教育価値を目指して志望校を決めていくことで、同じ普通科に進学したとしても、そこからの学びが主体性のあるものにステップアップしていくのである。子どもたちの飛躍的な成長につなげていく、高校受験の持つ大きな意味はここにこそあるのだ。
『金沢学遊』
代表:小矢田 学紀
石川県金沢市四十万町イ52-2
Mail:kanazawagakuyu@gmail.com
https://kanazawagakuyu.com/
※掲載されている情報は、2023年11月以前に取材した内容です。時間の経過により実際と異なる場合があります。