【農援ラボ|Vegefarm 空風(くうふう)】砂丘地発のオリジナルブランドを武器に切り拓く、独立独歩の農の道
2025年8月4日(月) | テーマ/


石川県のほぼ中央部、金沢市の北西に隣接する内灘町。町の名物である砂丘地がむき出しになった田舎道を進むと、のどかな風景にすっかり馴染んだ「Vegefarm 空風」の立て看板が目に入った。畑を訪ねると、抜けるような青空を背景にカイトの鷹が悠々と舞っている。
「あれは鳥よけ。カラスがスイカを狙うんですよ」と話すのは代表の堀江隆志さん。一緒に出迎えてくれた妻の美佳さんは、畑仕事を手伝う一方、金沢市内にあるカフェ「syama」も不定期でオープンしているのだと教えてくれた。

砂丘地の高台に位置するこの農園は、空が近く海側から心地よい風が運ばれてくる。「農園名は印象に残るものがよかった」と堀江さん。実際にこの地に立ってみると、空と風が頭に思い浮かんだ理由がよくわかる。
もっとも、内灘という立地に特別な思い入れがあったわけではないらしい。金沢市出身の堀江さんはいわゆる脱サラ組。セカンドキャリアとして地元で農業の道へ進もうと思い立ったが、就農先のツテがあるわけではなかった。そこでいしかわ農業総合支援機構が主催する相談会へ足を運び、縁あったのが空風の前身となる農園だった。

「そこは第三者継承を前提に従業員を募集していたんです。私はいずれ独立してやっていきたいという気持ちがあったので、その条件はうってつけでした。だから内灘はたまたま。どこで何をするかといったことよりも、継承できる農園を探した結果という感じです」
7年間の学びの日々を経て、2019年に晴れて農園を継承。新たな屋号を掲げ、堀江さんが待ち望んだ独立独歩の農家人生が幕を開けたのだった。











