蓄音器の音色
2015年2月26日(木) | テーマ/エトセトラ

はるか遠い記憶を蘇らせたり、全身が震えるような高揚感を与えたり。そんな音楽の偉大な力を体感できる、全国的にも希少な博物館が金沢にあります。その名も『金沢蓄音器館』。蓄音器600台、SPレコード3万枚というコレクションもさることながら、注目すべきは、大正から昭和初期にかけて作られた実際の蓄音器でSPレコードの聴き比べができること。そのクチコミは徐々に広がり、今では、日本各地はもちろん、欧米からも来客のある、知る人ぞ知るスポットとなっています。
ちょうど私が訪れた日にガイドしてくださったのは館長の八日市屋典之さん。わかりやすい解説を加えつつ、あのエジソンが発明したいう100年以上も前の“筒状の”レコードを皮切りに、童謡、クラシック、ジャズ、歌謡曲、民謡と、様々なジャンルのSPレコードを、時代と歴史を彩った名器にて次々にかけてくださいました。そこには、CDなど、デジタルで聴く音楽とは、まったく異なる音楽がありました。
なんと表現すればいいのでしょうか。強く感じたのは「わぁ、音が生きている!」ということ。音が幾重にも連なり、まるでオーケストラやバンドや歌手が目の前で演奏しているかのような。こんな臨場感のある音楽をレコードで聴いたのは初めて。その音に触れた来館者がよく目を潤ませるというのもすごくわかります。
聴き比べの実演は、11時、14時、16時の毎日3回。観光で金沢に来られる方も、未だ聴いたことのない地元の皆さんも、体験されることを強くおすすめします。
ちなみに、同館のルーツを辿ると、かつて金沢で『山田屋蓄音器専門店』を営んでいた現館長の父・八日市屋浩志氏が、大量生産・大量消費の昭和50年代、道ばたに捨てられていた蓄音器を見逃すことができず、修理し、音を奏でられるようにしたことがきっかけだったとか。それが現在では、日本全国から蓄音器やSPレコードの寄贈があとを絶たないそうです。心から音楽を愛した初代館長のやむにやまれぬ想いが継承され、それが今、全国に広がりを見せていることに胸が熱くなるエピソードです。
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