
【ナンバーワンを探せ!】なぜ金沢は金箔の生産量が全国1位なの?
2024年7月18日(木) | テーマ/エトセトラ

石川県の「日本一」を探すこちらの「ナンバーワンを探せ!」コーナー。第5弾は「金箔生産量」です。金沢市は金箔の生産量が全国No.1という事実は、多くの方がご存知かもしれません。しかし「なぜ、生産量がナンバーワンなの? 」と聞かれると、実はよく知らないという人も多いのではないでしょうか。そこで今回は金沢の金箔生産量が全国No.1の理由を探ってみました!
1)湿度が高い
年間を通しての平均湿度が70%超える金沢。特に梅雨の時期はため息が出てしまいますが、実は金箔作りには湿気が必須なんだそうです。金箔を作るには「箔打ち」という作業が必要です。箔打ちは10円硬貨ほどの金合金を叩いて、畳2枚分くらいの大きさにまで伸ばすこと。完成した金箔は1万分の1ミリという驚きの薄さで、手で触るとくずれてしまうそうです。製造中に静電気が発生すると、金箔同士がくっついてしまうため、金箔作りには湿度の高い環境が適しているのだとか。湿度の高さはイライラの原因にしかならないと思っていましたが、金箔作りには欠かせない条件なのですね。
2)歴史的背景
江戸時代、徳川幕府の政策により江戸と京都以外での金箔作りは禁止されていました。そのため、金沢での箔打ちも表向きは途絶えたことになっています。しかし加賀藩では、藩の工芸振興のために密かに金箔の生産を行っていたともされています。1808年に金沢城二の丸が全焼し、再建のために大量の金箔が必要となった際には、京都から職人を招いて金箔を製造したそうです。その後もしばらく箔打ちの統制は続きますが、かねてより加賀藩を通じて幕府から金箔の販売権を得ていた金沢の町人・能登屋(越野)佐助の活躍により、幕末の元治元年(1864)金沢城の修復や藩の御用箔に限り、箔を打つ許可を得ます。明治時代に入ると、金沢での金箔の生産量は増加。現在ではほぼ100%の生産量を占めるまでになっています。
湿気の高さと歴史的背景が、金沢の金箔生産量を全国No.1に押し上げた理由といえそうですね。
金箔といえば、工芸品だけでなく、実は食べることができるため、食のシーンでもよく見かけるようになりました。金箔が燦然と輝く豪華なチョコレートケーキや、金箔の輝きが際立つコーヒーゼリーなどもおすすめですよ。
◾️おすすめ商品「黄金の焼菓子」の紹介はこちら
◾️金箔の歴史がわかるおすすめスポット『金沢市立安江金箔工芸館』の紹介記事はこちら
■参考資料
金沢市HP
【ナンバーワンを探せ!】バックナンバーもチェック!
■第1弾:金沢市民のチョコレート消費量が全国No.1の理由。
■第2弾:カレー大好き石川県民。都道府県別カレー店数が全国No.1の理由。
■第3弾:お餅大好き金沢市民。お餅の平均購入額が全国No.1の理由。
■第4弾:なぜ、石川県にだけ「都道府県章」がないのか。
その他の同じテーマ記事
幻の駄菓子「金花糖」って知ってる? お雛様に飾って桃の節句をお祝いしよう。 【季節のトリビア】
雛祭りの際には、華やかな飾り「金花糖」について、今回は掘り下げていきます♪ 金花糖って何? (続きを読む)
「心がのってくる仕掛け」が盛りだくさん。『国立工芸館』で子どもと一緒に工芸を楽しもう。
一見硬そうな印象もある国立工芸館ですが、実は子どもたちにもっと足を運んでもらいたいと、「心がのってく(続きを読む)
【編集者とらこの金沢アート探訪】国立工芸館で開催中の「反復と偶然展」、おすすめです!
左上/「偶然」より、小川待子《Untitled》1993年、左下/「反復×偶然」より小松誠《Crin(続きを読む)
【北陸のインフルエンサーまとめ】北陸三県の魅力を発信する新登場のインフルエンサー3選
『金沢日和』では「石川県の情報を発信しているインフルエンサーを知りたい」という声に応え、地元インフル(続きを読む)
【個性派本屋さん特集】金沢初?!のブックカフェ『あうん堂』の店主本多さんが語るこれから目指すお店の姿。
【金沢ブックカフェの先駆け】 旧国鉄を51歳のときに早期退職し、ご自身の1万冊以上の本を元(続きを読む)
【謹賀新年 2025】
新たな年を迎えました。 本年も皆様のご健康、ご多幸をお祈り申し上げます。 旧年中は当サイト(続きを読む)
【年末のご挨拶2024】
本日、大晦日を迎え、間もなく新しい年が始まります。 本年も「金沢日和」をご愛顧いただき、心より感謝(続きを読む)
【冬の旅行】雪山を思う存分楽しもう。『一里野高原ホテルろあん』の囲炉裏で能登牛・ジビエに舌鼓。
築100年の古民家を改装した情緒あふれる宿『一里野高原ホテルろあん』。豊かな自然に囲まれた環境の中、(続きを読む)