サイレント映画の極意
2015年7月2日(木) | テーマ/北陸のイベント
© Roy Export SAS
活動写真弁士という職業を知っていますか? 映画にまだ音声がなかった頃、作品の内容にあわせて、場面を説明したり、登場人物の台詞を発したり、いわば解説をしながら盛り上げ役も担っていた人気の職業。話芸の文化が発達している日本で生まれた独特な職業で、観客が熱狂するかどうかはこの人たちにかかっており、当時は弁士の上手さや個性によって、観客の動員に大きな差があったといわれています。
また、西洋の、当時の映画館といえば、大きな劇場はオーケストラを導入し、小さな劇場ではピアニストを雇うのが一般的。サイレントの時代から、映画と音楽、音声は密接にかかわっており、まさしく娯楽として、観客を楽しませることに一生懸命であったことが窺い知れます。
今回ご紹介するのは、以前もこのコーナーで取りあげた、金沢21世紀美術館の「映画の極意」の最新プログラム。7/11(土)、12(日)に開催されるvol.16のシリーズで、サイレント映画の古典ともいえる傑作の数々に、ピアノとパーカッションの生演奏、現代では希少な「活弁」をつけて上映する、とてもユニークで贅沢なイベントです。
上映作品のラインナップをみますと、片岡千恵蔵と山田五十鈴といった往年の大スターが登場し、伊丹万作(あの故・伊丹十三監督のお父さん!)の代表作ともいえる『國士無双』のほか、ハロルド・ロイドの『ロイドの都会っ子』、バスター・キートンの『海底王キートン』、チャールズ・チャップリンの『チャップリンの両夫婦』、エルンスト・ルビッチの『陽気な巴里っ子』など、日米の名喜劇、名コメディが目白押し。チャップリン、ロイド、キートンと、世界三大喜劇王の作品を一気に見比べられる機会はそうそうなく、そういった意味でも期待は高まるばかりです。
ピアノには、日本初のサイレント映画ピアニスト、柳下美恵さん。活動写真弁士には大森くみこさん、パーカッションには Momee さんで、お二人は無声映画×弁士×生演奏の活弁ユニット「深海無声團」にて関西を中心に活動されているとのこと。
トーキー、カラー、3D。テクノロジーの進化によって、私たちが得たものは大きいですが、一方で、それによって失ったものがあることを忘れてはいけません。そんなことを考えるとき、映画がトーキーに移行した過渡期に、チャップリンがトーキー映画を批判した「彫刻に色を塗るようなものだ」という言葉をふと思い出します。
サイレント映画にはサイレント映画にしかない魅力がある。
DVD やブルーレイ、インターネット配信など、デジタル化が進み、いつでもどこでも気軽に映画を楽しめるようになった半面、大きなスクリーンで映画を観るということ、さらに、サイレント映画を、生演奏と活弁付きで体験するといった映画の原点ともいえる豊かな「体験」ができるこの機会をお見逃しなく。
金沢21世紀美術館 https://www.kanazawa21.jp/
深海無声團 http://deep-silent-knight.hp-tsukurumon.jp/
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