2019年12月初旬に中国の武漢市で第1例目の感染者が報告されてから、わずか数カ月ほどの間にパンデミックと言われる世界的な流行となった新型コロナウイルス感染症（COVID-19）。３密を回避し、マスクや消毒で感染症対策を行い、「新しい生活様式」を取り入れながら、コロナとの共存を続けている。ほとんどの感染者は軽度から中等度の症状であり、入院せずに回復することも周知されてきたり、9月には新型コロナウイルス感染者の全数届出が見直しされた。社会的な状況も刻々と変化をする中、コロナに対する偏見や誤解は薄れているかのように見える。しかし今なお、新型コロナウィルスに感染した人や、医療従事者とその家族、あるいはワクチンをへの偏見や心無い態度が根強く残っているのが実態だ。

石川県では、令和3年3月に「コロナ差別を禁止する条例」を制定し、「Stop!コロナ差別!」のメッセージを伝えるポスターを作成した。「差別ではなく、エールを!」や「みんなで乗り越えよう」などの前向きなメッセージをたくさん組み合わせて、石川県の形に仕上げたデザインとなっている。このポスターを県内市町や学校、スーパー、企業等に配布することにより、コロナ差別を許さない県民意識の醸成を図ることを目的としている。また、インターネット上のSNSや匿名掲示板などでのコロナに関する差別的な書き込みについて、AIを活用して幅広くチェック。収集した情報は石川県が保管しており、差別等の被害を受けた人が投稿の削除依頼や法的手続きを取る際の証拠として活用できるよう、被害者の求めに応じて提供するのだという。

誹謗中傷は当事者を傷つけるばかりでなく、罹患者が正しいタイミングで病院に行くことを逃すことで、不用意に感染者を増やす危険もある。コロナへの不安から不確かな情報に惑わされて、無意識のうちに差別や偏見につながる行動をしていないだろうか。我々自身が行動･言動を振り返り、人権侵害につながることのないよう気を付けることが重要だ。

【石川県】
■「Stop!コロナ差別!」～ネット上の誹謗中傷は許されません～
■新型コロナウイルス感染症に関する人権への配慮について