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【最新販促事情】奥能登の鍛冶屋『ふくべ鍛冶』に見る クラファンを活用した新しいプロモーションのカタチ

2024年4月8日(月) | テーマ/ニュース

令和6年能登半島地震からもうすぐ3ヶ月が経過しようとしている。奥能登で地域特有の道具の製造・修理をする「野鍛冶」を営む『ふくべ鍛冶』の代表干場さんは、できるだけ早く地域内外の経済活動を回し、事業再建を目指す姿を見せることが、奥能登の復興につながるのではと考え、いち早くクラウドファンディングをスタートさせた。
※最終的に目標金額の5倍以上にあたる5,476,000円の支援を集めた。4/30までキャンプファイヤーにて第2弾実施中。

なぜ、資金調達の方法としてMakuake(マクアケ)を選んだのか。それは、一度、実施経験があり、ユーザー像や成功までのプロセスが具体的に理解できていたことが大きい。被害を明らかにし、未来へと前進する姿を伝え、これからの能登を創造する一歩を踏み出すためには成功は絶対課題だった。

では、初回の成功はどのようにして実現していったのだろうか。『ふくべ鍛冶』のMakuakeの最初の挑戦は2023年8月に実施したプロジェクト、イカ割き包丁の「SHINBU-心舞-」で、これはクラウドファンディング初挑戦でもあった。2023年2月に東京ビッグサイトの展示会に出店したことから、事業がクラファンにマッチしそうだと、クラウドファンディング関連会社から声がかかったという。

初めてのチャレンジで目標額として設定した10万円を大幅に超える760万円以上を達成。そのポイントを干場さんはこう振り返る。

「専門家に記事を作成してもらい、わたしたちの伝えたいことを丁寧に伝えてもらったということもありますが、ティーザー広告※を使ったのがよかったのだと思います。プロジェクト開始前に広告を出し、2〜3週間で1,000人以上が専用LINEに登録してくれ、プロジェクト開始初日で250万〜260万円ほどを達成。プロジェクトの途中でも一度広告を出しています。必ず広告を出さないといけないわけではありませんが、やはり効果は大きかったと思います。アドバイスを受け、どの程度の金額を広告にかけるかは自分で決められたのも納得感があってよかったです」

※「ティーザー広告」とは、商品の情報を断片的に公開することで消費者の興味を引く広告のこと。重要な情報をあえて隠しながら、タイミングを見計らって徐々に公開していくプロモーション手法。

プロジェクト開始直後の「出だし」に注力し、初速に勢いをつけた。「『プロジェクトは始まる前に成功が決まっている』と聞いていたので、事前準備には時間をかけました」とも。実際に、身近な知り合いや経営者にも自ら声をかけ徹底して草の根運動を行ったという。そして、「元々、1度のクラファンを今回のみで終わらせず、横展開をしようと考えていました」と「越境クラウドファンディング」についての考え方を教えてくださった。

横展開とは一つの事例を別のクライアントやマーケットを対象に同様のスキームで実施すること。具体的には、Makuakeプロジェクト終了後の1ヶ月後の2023年10月に海外版のクラウドファンディングサイト「キックスターター」で同様のプロジェクトを開始した。Makuakeで制作した記事をベースに海外版クラファンにも挑戦。きっかけは銀行主催の東京での研修会でその存在を知ったこと。「海外向けクラウドファンディング支援事業を行っている東京の専門会社のサポートのおかげで760万近い支援をいただくことができました。海外向けということで、商品発送やお客様からの質問対応など不安な点もありましたがすべて代行してくれます。我々は商品を日本の指定場所に送るだけでよかったんです。日本のクラファンと同じ感覚でやれたのがよかったです」

「クラファンは、立ち上げに労力、時間、お金がかかります。まずは1つのプロジェクトに集中して完結させることが大事だと思います。そこで成功事例を作ることで、次が見えてきます。横展開を視野に入れていたため、最初のコンテンツ(デジタルデータ)のクオリティは大事と考え、コストも労力も注力しました。Makuakeで完結させた後、海外だけではなく国内の別のクラファンでスタートさせることもできます」

『ふくべ鍛冶』が手掛ける、農家や漁師などの仕事道具を作る「野鍛冶」はローカルに根ざす事業。意欲的な発信とは別軸で、使い手を見つめ、自分たちの営みを大切にしながら、まっとうに、愚直にものづくりに取り組んで来た結果、NHKの番組や富裕層向けの雑誌に取材されることも多い。「新たなファン層の獲得になりますから、ありがたいですし、非常に大切なことだと思っています」。ポジショニングの獲得と、顧客の開拓はいずれにせよ命題だ。

ここで、『ふくべ鍛冶』の新たなプロモーション手法をまとめると下記のようになる。
①Makuakeでプロジェクト実施(応援購入総額:7,672,200円)
https://www.makuake.com/project/shinbu/
Point➡「デジタルデータ」となるページ制作にはコスト・労力をかけた。

②海外のクラウドファンディング「キックスターター」でプロジェクト実施
(応援購入総額:7,591,859円)
https://www.kickstarter.com/projects/fukubekaji/shinbu-hand-forged-in-noto-ishikawa
Point➡Makuakeで制作したデジタルデータを用いて海外市場に展開

③大手ECプラットフォーム(楽天、Amazon、Yahoo!ショッピング)で販売
Point➡クラウドファンディングでの実績・購入者のコメントをエビデンスとして用いてスタートダッシュに成功

④購入者のコメントから新商品を開発。上記①から第2弾のプロジェクトを開始。

従来の販促手法で全国・海外へのプロモーションを考えた場合、数百〜数千万円規模の予算が必要となる。また、それを実行したとしても、売れるかどうかは未知数である。『ふくべ鍛冶』の場合は、クラウドファンディングでプロジェクトを実施しながら、「クオリティの高いデジタルデータ」と「応援購入実績」、「購入者のコメント」を積み重ね、わらしべ長者のようにネタ(話題性)を膨らませていく。こういった「売れるループ」を少額投資で成功しているのが実に興味深い。

最後に、今後の展開について、『ふくべ鍛冶』干場さんに伺った。「今回、実施したプロジェクト『ポチスパ』はオンライン包丁研ぎ宅配サービス。包丁のリペアや修繕を簡単に受けられるというものです。この取り組みの根底には、能登にリペア事業のプラットフォームを作る考えがあります。震災を受けて意欲を失った職人たちに、職とやりがいを提供するきっかけづくりをしたかった」と干場さん。Makuake実施後は、キャンプファイヤーにて同様にポチスパギフト。そして、「5月からはladyforも横展開予定です。震災からの復興は長期に渡ることから、切れ間のない受け皿が必要ではないかと横展開を進めています」。集まった資金を元に、職を生み出し、雇用の場の確保を、と意欲を燃やす。

■株式会社 ふくべ鍛冶
石川県鳳珠郡能登町字宇出津新23
TEL/0768-62-0785
営/9:00〜17:00 (日曜定休)

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