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【金沢の怪談】ひとつの城下町に4つも?金沢に伝わる「飴買い幽霊」のふしぎ

とある飴屋に、青白い顔をした女の人がやってきて、毎晩のように飴を買っていく。不思議に思った店主が後をつけると、女はお墓の前で消えてしまう。墓を掘り返してみると、亡くなったはずの母親のそばで、赤ちゃんが元気に泣いていた……。

実は、母親は身ごもったまま亡くなり、埋葬されたあとで、お墓の中で赤ちゃんを産んでいた。土の下で生まれた我が子を飢えさせまいと、幽霊になって夜ごと飴を買いに来ていたのだ。

「子育て幽霊」または「飴買い幽霊」と呼ばれるこの話をご存知でしょうか? 朝ドラ「ばけばけ」でも登場した怪談なので、ご覧になった方も多いかもしれません。小泉八雲が、松江の大雄寺に伝わる「飴を買う女」という話を、本で世界に紹介したことでも知られています。

実はこの話、京都や松江だけのものではありません。ここ金沢にも伝わっているお話なのです。

金沢では4つのお寺に「飴買い幽霊」に似た話が

金沢市が行った言い伝えの調査によると、飴買い幽霊の話が伝わるお寺は、道入寺・光覚寺・立像寺・西方寺の4つ。ひとつの町にこれだけ似た話が残っているのは、なかなか珍しいことだそうです。

しかも、少しずつ形が違うのが面白いところ。

道入寺では、墓の中で生まれた赤ちゃんが道玄と名乗るお坊さんになり、七代目の住職にまでなったと伝わります。しかも、母をしのび、画家の円山応挙(まるやまおうきょ)に描いてもらったという幽霊姿の母の絵が、今もこのお寺に所蔵されています。

光覚寺には、門前から下る坂道があり、その名も「あめや坂(飴屋坂)」といいます。江戸のころ、この坂の途中に飴屋があって、幽霊が飴を買いに来たことが語り継がれてきたのだそう。

西方寺には、飴を買いに来たのは幽霊ではなく、子をあわれんだお地蔵さまだった、という言い伝えがあります。この言い伝えから、お地蔵さまを削って子供に飲ますと病気が治ると信じた人々により、お地蔵さまは全身を削られることになってしまいました。この「飴買い地蔵」は、西方寺の地蔵堂に安置されています。

立像寺のほうは、なんと飴ではなく「お餅」を買いに来る「もち買い幽霊」のお話があります。このように、同じ話の芯を持ちながら、土地ごとに少しずつ姿を変えて伝えられているのです。

金沢には昔ながらの飴を味わえる飴屋も!

金沢には、母を思う気持ちから生まれた飴屋さんがあります。天保元年(1830年)創業、金沢でいちばん古い飴屋「あめの俵屋」です。

初代の次右衛門(じえもん)さんが、母乳が出ずに困っているお母さんたちの姿を見て、母乳のかわりになる栄養たっぷりの飴を作ったのがはじまりだそう。看板商品の「じろあめ」は、お米と大麦、白山の伏流水だけで作られた、とろりとやわらかい水飴。「じろい(やわらかい)」という金沢の言葉が、その名の由来だと言われています。

亡くなってなお、子のために飴を買いに来る母。母乳が出ずとも、我が子に栄養をと願う母。根っこにあるのは同じ、母親が子へ向ける愛情です。飴をいただくとき、そんな母親たちの気持ちを想像してみると、また違った味わい方ができるかもしれません。

▶︎もっと詳しく知りたいなら:石川・金沢のおみやげ&手土産|あめの俵屋の「じろあめ」

金沢の町並みをちょっと歩いてみませんか

「飴買い幽霊」に興味がわいたら、風情ある金沢の町並みを散策するついでに、いくつかのお寺をめぐってみるのもおすすめ。道入寺はやや離れていますが、そのほかのお寺は徒歩で十分に回れる距離にあります。

光覚寺やあめや坂は、ひがし茶屋街近く。あめの俵屋さんにも立ち寄りやすい位置にあります。

西方寺と立像寺は、にし茶屋街近く。忍者寺として知られる「妙立寺」とも近いので、妙立寺をめぐる観光コースに組み込んで、ふらっと周りを散歩するのにも向いています。古い怪談に思いをはせながら、金沢の散歩を楽しんでみてくださいね。

▶︎金沢観光モデルコース|ひがし茶屋街〜泉鏡花記念館、徳田秋聲記念館をめぐる
▶︎金沢観光モデルコース|にし茶屋街〜妙立寺、香林寺、伏見寺など、美しき有名寺院をめぐる

金沢日和編集部
金沢日和編集部

金沢の怪談や不思議な話はほかにもあります。興味のある方は、金沢の怪談クイズもチェックしてみてくださいね。
▶︎【金沢怪談クイズ】夏の夜に、金沢の不思議な言い伝え5問。あなたは何問わかる?

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