もはや、うだつは上がらない。
2015年3月26日(木) | テーマ/金沢の雑学
金沢で町家を見物していると、2階部の隣家と接する部分に、ちょっとした隔壁のようなものを見かけることがある。
これは「袖うだつ」といって、一般には延焼防止を目的に設置されたものと言われている。これを見て「へえ、これが『うだつが上がらない』の『うだつ』か」と誤って理解する人もいるようだが、この慣用句にある「うだつ」はもっと豪勢なもの(たとえば、うだつそのものに瓦屋根が取り付けられている)を指し、少なくとも現在の金沢の街では見ることができない。
慣用句に用いられた「うだつ」は「袖うだつ」同様に防火壁として設けられたものだが、江戸中期以降から装飾的な意味合いが強くなり、それと同時に財力を誇示する手段となって、商家の屋根上に立派なうだつが競って上げられるようになったのだとか。
うだつが残る街並みは少なく、わずかに岐阜県美濃市美濃町や徳島県美馬市脇町南町など数エリアが、今でも保存に努めているようだ。
※「袖うだつ」に対し「本うだつ」というものがあるのですが、これについての説明は別の機会に。
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