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金沢小景

脈々と育まれてきた金沢の風物。
残したい、守りたい、ただそれだけの思いを込めて、大切な小景を届けます。

第8回

水の都

撮影:今寺 学(2007年撮影)
水の都

 金沢は「水の都」である。もう一文字、言葉を足して「用水の都」と言い換えてもいい。
 金沢には主に犀川、浅野川を水源とする用水が市内平野部の至るところを流れていて、その数は55、総延長は約150キロにも及ぶ。主なものでは辰巳用水、鞍月用水、大野庄用水、寺津用水、長坂用水(以上、犀川系)、中島用水、小橋用水、旭用水、金浦用水(以上、浅野川系)などがある。これらは市民の暮らしのなかに息づき、古都・金沢の景観に独特の風情を与えている。
 なかでも辰巳用水は、東京の玉川上水、静岡の箱根用水、長野の五郎兵衛新田用水と並んで、日本四大用水のひとつに数えられている。
 開削は1631年で、金沢城内の殿閣のみならず城下町の約6,000戸を焼きつくしたとされる「法船寺の大火」が契機となった。かなりの難工事だったと推察できるが、工事の責任者、板屋兵四郎なる人物の天才的な発想と技術により、わずか1年足らずで完成されたという。軟弱な地盤を避けてつくられたために大きく屈曲した部分があるものの、ゆるやかな勾配は正確無比。必要な水量や流れの速度を確保・維持するための細やかな計算と工夫が随所に見られ、町の防火体制はもちろん、城の防御強化(空堀が水濠に)や新田開発にも大きく寄与。また日本で初めて逆サイフォン方式(水位差を利用して水を高い位置まで引き上げる)の原理を用いたのもこの辰巳用水だといわれ、これはいまも兼六園の噴水に活用されている。
 大道割から錦町に至る辰巳用水の途中、約2キロ区間は「辰巳用水遊歩道」として整備されていて、この水路沿いの半分ほどを占める緑地には植物や野鳥、昆虫など、貴重な生態系がいまも保たれている。ウォーキングに最適なスポットである。

※掲載されている情報は、時間の経過により実際と異なる場合があります。(更新日:2019年5月27日)

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