用水めぐり 「大野庄用水」の巻
2016年11月29日(火) | テーマ/金沢の雑学

大野庄用水は、おそらく最も広く(金沢市民以外にも)知られた用水でしょう。名前を聞いてピンとこない人でも、武家屋敷跡の土塀沿いに流れている用水といえば、「ああ、あれね」となるはず。
その完成年は不明ですが、今から400年ほど前に開削されたといわれており、金沢最古の用水ということになります。金沢城築城の際には木材など(御荷)を宮腰港(現在の金石)を経て木曳川でひき上げ、大野庄用水を通って運んで、最後は木倉町で荷揚げをし、藩の材木蔵に貯えたそうです。御荷(おに)を運搬したということで大野庄用水は「御荷川」、あるいは語呂合わせからか「鬼川」とも呼ばれました。水の流れは武家屋敷内に引き込まれ、庭園の曲水に利用される例もあります。
また、武家屋敷跡のほど近く、片町スクランブルから大通りを元車方面に進んですぐ右手にある真言宗の寺院「養智院」は、大野庄用水の守護神。上流で川に落ちた子供もここで必ず助かるなど、いくつかの伝説が残っているようです。
というように、大野庄用水といえば長町近辺の風景と重ね合わせるのが普通ですが、天邪鬼な身としては、武家屋敷とコラボし、美しく整備された観光チックな姿よりも、例えば金沢駅近辺の中橋高架下あたりの生活感漂う風景が好きだったりします。
写真(長町武家屋敷跡)提供=金沢市
その他の同じテーマ記事
金沢といえば加賀宝生! 全国から女性能楽師が集まって金沢で公演 幽玄な舞台「杜若」を鑑賞しました!(動画あり)
11月に石川県立能楽堂で開催された「女性能楽師による能楽公演事業 第二回 能における節供と花々」(沢(続きを読む)
金沢のローカル自虐ソング〜西金プリンスロード商店会
自虐ネタといえばお笑いですが、金沢の自虐的な歌をご存知でしょうか。 今回は、西金沢にある商店街「西金(続きを読む)
盗っ人も匙を投げる大きさ
今回は兼六園に出かけてみましょう。 兼六園にはいくつか出入口があるのですが、ここでは「真弓坂口」を(続きを読む)
そろそろ許してあげても。
今回の「不思議」な場所は尾山神社。昔むかしのお話です。 尾山神社の神門をくぐるとき、ちょっと足(続きを読む)
サムライ以前の石川県をゆく。
千里浜なぎさドライブウェイの端っこに、大伴家持が詠んだとされる歌が刻まれた石碑があります。ご存知です(続きを読む)