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坂と橋が描く金沢の境界線

2015年9月3日(木) | テーマ/金沢の雑学

金沢の街を歩くと必ず通るのが「坂」そして「川や用水と橋」。
現代人が何も感じずに易々と通り過ぎてしまう「坂」や「橋」は、藤沢周平の『橋ものがたり』を読むと、また違った景色に見えてきます。

江戸時代以前、「坂」や「橋」は、物理的・精神的な「境界線」でした。
向こう側とこちら側では、住む人の身分が違ったり、職業が違ったり。簡単に行き来ができない境界線であることも少なくありませんでした。
例えば金沢の観光ガイドにもよく載っている「暗がり坂」と「あかり坂」は、尾張町と茶屋街との境界をつなぐ坂。かつて旦那衆はこの坂から密かに茶屋街へ通ったと言われています。
そして、なぜ「坂」になっているのかといえば、金沢市内に二重にめぐらされた「惣構(そうがまえ)」による段差があるからです。

「惣構(そうがまえ)」というのは土を高く持った「土居」と水をひいた「お堀」のこと。
5月に放送されたNHK『ブラタモリ 金沢』でも取り上げられていましたね。
金沢市内は、もともとの地形によるものだけでなく、この二重の惣構によって「坂」と「橋」が生まれているのです。

写真は橋場町のT字路近くの用水と、整備された「惣構」の名残です。
このそばにある土産物屋『八百屋本舗』は、旧金物店の町家をリノベーションしているのですが、建物の中を惣構堀が横断しているとあって、店の奥に石垣を見られるガラス窓や堀を見下ろせる窓が設けられているので要チェックです。

金沢の街を歩くとき、何気なく通り過ぎる段差(坂・階段)や橋や用水に目を留めて、その境界線を越えたくても越えられなった人、熱い思いを抱いて密かに越えた人たちのことを想像してみてくださいね。

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