訪日外国人が「予約できない」問題に、金沢発AIが対応−「インバウンド AI予約アシスタント」誕生−
2025年7月31日(木) | テーマ/ニュース
― 株式会社ゼックが開発した「インバウンド AI予約アシスタント」とは?
観光都市・金沢では、外国人観光客の姿が再び増えてきている。インバウンド需要の回復を受け、飲食店にも訪日客の来店が目立つようになったが、現場では新たな課題が浮上している。
その課題は、飲食店側と外国人観光客の双方に存在する。飲食店にとっては、「突然の来店に対応しきれない」「英語での電話予約に不安がある」という悩み。一方の外国人観光客は、「予約をしていない」という理由で入店を断られるケースが多いという落胆。
背景には、欧米ではレストラン予約が当たり前という国際的な常識と、日本では外国人が予約しづらい現実とのギャップがある。多言語に対応した予約サイトが限られ、英語で電話をかけることへの心理的ハードルも高いため、訪日客はそもそも「予約できる状態」にアクセスしづらい。そのうえ人手不足も重なり、店側も柔軟に対応し切れていない──これが双方のミスマッチを生んでいる。
こうしたギャップを埋めるのに活用したいのが「インバウンド AI予約アシスタント(Book Assistant AI)」だ。

会話感覚で予約完了。予約もキャンセルもスマートに
予約における困りごとを解決するべく開発された「インバウンド AI予約アシスタント(Book Assistant AI)」は、英語に対応。たとえば外国人利用者が「Next Friday at 7pm」や「7pm on the first Sunday of next month would be good」と入力するだけで、AIがその内容を理解して予約処理を進める。
予約希望は、チャットでやりとりをする形になる。あたかも電話で話しているような感覚で送信され、店舗側には内容が翻訳された上で届く。店舗は「受付/満席」の対応をするだけでよく、さらに返答もAIが英語で自動送信するため、スタッフ側の語学対応は不要だ。予約確定後は、来店前に自動リマインド通知が送信され、返信がない場合は自動キャンセルまたは再通知で対応。ビーガン対応や席の希望といった個別ニーズにも、あらかじめ設定不要でAIが対応し、返答が届く設計になっている。

「英語で電話がかかってきたとき、いつも対応に緊張していた。でも今はAIが代わりに受けてくれるので、安心して業務に集中できる」(金沢市内・居酒屋店主)の声をはじめ、「予約率が上がった」「電話が怖くなくなった」など、導入した飲食店からは、ポジティブな声が続々と届いている。
外国人観光客が英語で自然に予約でき、店舗側は言葉の壁を意識せずに受付できる――その柔軟な仕組みは、接客のハードルを大きく下げ、新しい時代のホスピタリティの形を提示している。

業種の枠を超えた挑戦。ゼックの原動力とは
このAIシステムを開発したのは、野々市市に本社を構える株式会社ゼック。もともと同社は、キッチンカーやキャンピングカーなど、産業用の特装車を製造・販売してきた企業だ。コロナ禍ではイベントの中止により出店機会が激減し、困窮するキッチンカー事業者を支援するために「バショカリ」というWebマッチングサービスを開発。使われていないスペースとキッチンカーをつなぐ仕組みで、現場の“困りごと”をITの力で解決してきた実績がある。そしてこのAI予約システムが誕生するまでには、実はもうひとつのきっかけがある。それはゼックが過去に能登半島で展開していた「NOTO AIアシスタント」だ。
外国人観光客向けに、観光案内や施設予約などをAIで支援するこのツールは、能登地域のインバウンド観光を後押しする目的で開発された。だが、2024年の大地震と大雨により、現地の観光業は壊滅的な打撃を受け、AIアシスタントの展開も一時的にストップせざるを得なかった。「でも、そのときに培った技術や知見が、今回のAI予約アシスタントに活きています。将来的に能登が復興し、インバウンド需要が高まった時にも役に立ちたい」と代表の永井さん。

技術で“つなぐ”。それがゼック流
この仕組みは“予約+接客が必要なサービスなら業種を問わず応用可能。美容院・体験ワークショップ・ホテルのデイユースほか、様々な分野での活用が期待できる、また、現在、金沢城公園やひがし茶屋街の店舗や写真館と組み、訪日客がAIチャットだけで撮影予約を完了できる試みも遂行中だ。
“困っている人の声を拾い、技術で解決する”。それがゼックの姿勢であり、今回の「インバウンド AI予約アシスタント」もその延長にある取り組みだ。言語の壁を越えて、訪日客と地域の飲食店をつなぐAI予約アシスタント。その実用性と拡張性は、接客のあり方そのものを変えていく可能性を秘めている。金沢から始まったこの挑戦が、やがて全国、そして世界の“予約の壁”を超えていく日も、そう遠くないかもしれない。
■インバウンド AI予約アシスタントの説明はこちら
メールでのお問い合わせはinfo@bookassistant.jpにて
『株式会社ゼック』
住所/石川県野々市市三日市2-60
TEL/076-294-2000
WEBサイトは こちら から
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