学年が進むにつれて勉強が楽しくなる、後伸び力の育て方(第14回)
自学力の育て方⑤ 望み高く胸にあるも、その成敗を問わず
『名門公立高校受験道場流 自学力の育て方 受験突破だけで終わらないために』
という本を執筆し、KADOKAWAから発売中です。
四冊目の共著ですが、Amazon1位など、全国で健闘しています。
全国のトップ校受験専門塾が集まる、
名門公立受験道場の精鋭陣が執筆し、
私は30数ページほど書いております。
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自学力が身に付きつつある生徒のイメージはどんなものですか?
『自学力の育て方』では、それぞれの塾長が、
それぞれが生徒や世の中に対して感じている課題に応じて、
それぞれの自学力をイメージして書いています。
シリーズで、私がイメージしている自学力が付きかけている、
生徒のイメージをお伝えしています。
前回は、私たちがイメージしやすい自学力がある生徒像は、
実は辛い経験に裏打ちされたものですという話でした。
今回はもっと「普通」の子についてお話しします。
勉強を単に点数を取るもの、合否を決めるもの、
将来の選択肢を増やすものといった、
利益の部分に注目してそれを目標にするのではなく、
追究していくこと自体が面白いものであって、
そのついでに利益がついてくる、
それを「余熱で受験に克つ」と表現しています。
こういう生徒に育ってもらうために、柱にしているのは、
理科・社会・時事です。
受験重視の考え方ですと、英語・数学・国語重視になりやすいですが、
大学での勉強は理学部数学科・文学部など一部を除き、
法や政治・経済・工学・医学など、
理科社会の内容を、英数国の力を使って分析するというものです。
ですから、英数国に偏った勉強をしてきた子は、
せっかく名門大学に行っても、
やりたいことが分からないとなることが多いのです。
時事に関しては、世の中で起こった事柄に対して、
自分はどんな気持ちを持つか?がやりたいことにつながっていきます。
それだけでなく、
理科・社会は、自然・社会・人間(文化)を分析する学問ですので、
時事はそれらに関する豊富な具体例となります。
勉強が得意ではない、好きではないのは、
単に具体が入っていないだけではありませんか?
参考(リンク➡):第5回 「頭が悪いのではなく、具体が入っていないだけ」
そして時事は、自然・社会・人間(文化)などが複雑に入り混じった、
ごちゃまぜボックスみたいなものです。
学校で習うものはそれらを科目ごと・単元ごとに、
細切れにする代わりに分かりやすくした、
ひとつのおもちゃみたいなものです。
ごちゃまぜボックスの中からひとつのおもちゃが好きになろうと、
ひとつのおもちゃをきっかけにごちゃまぜボックス自体が好きになろうと、
どちらでもいいはずです。
ただ、現在の傾向と対策中心の勉強、
将来有利になるための学歴という考え方では、
ひとつのおもちゃを高度にいじりまわすことや、
ひとつのおもちゃからごちゃまぜボックスを好きになる方ばかりが、
スポットライトを浴びているのではないかと思います。
ただ、注意点があります。
これらは壮大な種蒔きであって、
触れたものに必ず興味関心の芽が芽生えるものではありません。
受験対策的に、すぐに結果を求めるタイプの大人は、
いろいろな本を与えたり、
博物館や美術館などに連れて行ったり、
やっているのに勉強に積極的に興味を持ちませんなどと、
思ってしまいやすいものです。
「望み高く胸にあるも、その成敗を問わず」
2019年に逝去された、西田幾多郎先生の孫、教育哲学者上田薫先生の言葉です。
いくら望みを高く持っていても、結果が出なければ無駄である。
それもまた一理あります。
それら両方のアプローチを同時に持っているのが大事であって、
片方だけに焦点をあてるから、
勉強が歪んでしまうのです。
現代は、対策重視・効率重視・結果重視の世の中ですので、
寺子屋は反対側を強調しています。
ということは、知的好奇心重視の考え方も、
勉強を歪めてしまうのですか?
はい、その通りです。
次回は、知的好奇心重視の考え方に偏りすぎてもいけない
というお話をしたいと思います。
《過去の記事はこちら》
➡第1回 「概念がある程度入ってからがお勉強です」
➡第2回 「思考力を育てるには?」
➡第3回 「情報処理能力と読解力」
➡第4回 「読解力は大きくなれば身に付くわけではない」
➡第5回 「頭が悪いのではなく、具体が入っていないだけ」
➡第6回 「受験勉強が悪いのではなく、勉強のイメージが偏っているだけ」
➡第7回 「受験勉強の意味を考えてみる①」
➡第8回 「受験勉強の意味を考えてみる②」
➡第9回 「受験勉強の意味を考えてみる③」
➡第10回 「自学力の育て方① まずは歯を磨くように勉強する」
➡第11回 「自学力の育て方② 先取りは目的が大事」
➡第12回 「自学力の育て方③ 自学力が備わってきた子のイメージ
➡第13回 「自学力の育て方④ 禍福は糾える縄の如し」
●書籍名:「名門公立高校受験道場流 自学力の育て方 受験突破だけで終わらないために」(KADOKAWA) ●著:名門公立高校受験道場 ●発売日:2021年11月19日 ●定価:1,540円(税込) ●書籍の詳細・購入はこちら
※掲載されている情報は、2022年3月以前に取材した内容です。時間の経過により実際と異なる場合があります。
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