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【特集】連載:石川のトップランナー

さまざまな分野の第一線で活躍する、石川県のプロフェッショナルにインタビューする連載。仕事に対する哲学や日々の取り組みなど、トップパーソンの「プロ論」に迫ります。

[ 進学塾 寺子屋本楽寺で育む自学力 ]

学年が進むにつれて勉強が楽しくなる、後伸び力の育て方(第14回)

学年が進むにつれて勉強が楽しくなる、後伸び力の育て方(第14回)

[ 進学塾 寺子屋本楽寺 ]

塾長 根保 博仁(Konbo Hirohito)
【Profile】勉強で何か面白いものを見つけ、その余熱で点数・合格を勝ち取ることを目標とする『進学塾 寺子屋本楽寺』塾長。テストや受験対策・過去問漬けは行わない。算数国語のセンスを育てる幼児・低学年コースや、芸術コースを開講。書籍執筆も行い、2021年には『現代書林』から単著を刊行。

自学力の育て方⑤ 望み高く胸にあるも、その成敗を問わず



『名門公立高校受験道場流 自学力の育て方 受験突破だけで終わらないために』

という本を執筆し、KADOKAWAから発売中です。

四冊目の共著ですが、Amazon1位など、全国で健闘しています。

全国のトップ校受験専門塾が集まる、

名門公立受験道場の精鋭陣が執筆し、

私は30数ページほど書いております。

➡書籍の詳細はこちら





自学力が身に付きつつある生徒のイメージはどんなものですか?

『自学力の育て方』では、それぞれの塾長が、

それぞれが生徒や世の中に対して感じている課題に応じて、

それぞれの自学力をイメージして書いています。



シリーズで、私がイメージしている自学力が付きかけている、

生徒のイメージをお伝えしています。



前回は、私たちがイメージしやすい自学力がある生徒像は、

実は辛い経験に裏打ちされたものですという話でした。

今回はもっと「普通」の子についてお話しします。



勉強を単に点数を取るもの、合否を決めるもの、

将来の選択肢を増やすものといった、

利益の部分に注目してそれを目標にするのではなく、

追究していくこと自体が面白いものであって、

そのついでに利益がついてくる、

それを「余熱で受験に克つ」と表現しています。



こういう生徒に育ってもらうために、柱にしているのは、

理科・社会・時事です。



受験重視の考え方ですと、英語・数学・国語重視になりやすいですが、

大学での勉強は理学部数学科・文学部など一部を除き、

法や政治・経済・工学・医学など、

理科社会の内容を、英数国の力を使って分析するというものです。

ですから、英数国に偏った勉強をしてきた子は、

せっかく名門大学に行っても、

やりたいことが分からないとなることが多いのです。



時事に関しては、世の中で起こった事柄に対して、

自分はどんな気持ちを持つか?がやりたいことにつながっていきます。

それだけでなく、

理科・社会は、自然・社会・人間(文化)を分析する学問ですので、

時事はそれらに関する豊富な具体例となります。

勉強が得意ではない、好きではないのは、

単に具体が入っていないだけではありませんか?

参考(リンク➡):第5回 「頭が悪いのではなく、具体が入っていないだけ」



そして時事は、自然・社会・人間(文化)などが複雑に入り混じった、

ごちゃまぜボックスみたいなものです。

学校で習うものはそれらを科目ごと・単元ごとに、

細切れにする代わりに分かりやすくした、

ひとつのおもちゃみたいなものです。

ごちゃまぜボックスの中からひとつのおもちゃが好きになろうと、

ひとつのおもちゃをきっかけにごちゃまぜボックス自体が好きになろうと、

どちらでもいいはずです。

ただ、現在の傾向と対策中心の勉強、

将来有利になるための学歴という考え方では、

ひとつのおもちゃを高度にいじりまわすことや、

ひとつのおもちゃからごちゃまぜボックスを好きになる方ばかりが、

スポットライトを浴びているのではないかと思います。



ただ、注意点があります。

これらは壮大な種蒔きであって、

触れたものに必ず興味関心の芽が芽生えるものではありません。

受験対策的に、すぐに結果を求めるタイプの大人は、

いろいろな本を与えたり、

博物館や美術館などに連れて行ったり、

やっているのに勉強に積極的に興味を持ちませんなどと、

思ってしまいやすいものです。



「望み高く胸にあるも、その成敗を問わず」

2019年に逝去された、西田幾多郎先生の孫、教育哲学者上田薫先生の言葉です。



いくら望みを高く持っていても、結果が出なければ無駄である。

それもまた一理あります。

それら両方のアプローチを同時に持っているのが大事であって、

片方だけに焦点をあてるから、

勉強が歪んでしまうのです。

現代は、対策重視・効率重視・結果重視の世の中ですので、

寺子屋は反対側を強調しています。



ということは、知的好奇心重視の考え方も、

勉強を歪めてしまうのですか?



はい、その通りです。

次回は、知的好奇心重視の考え方に偏りすぎてもいけない

というお話をしたいと思います。


《過去の記事はこちら》
➡第1回 「概念がある程度入ってからがお勉強です」
➡第2回 「思考力を育てるには?」
➡第3回 「情報処理能力と読解力」
➡第4回 「読解力は大きくなれば身に付くわけではない」
➡第5回 「頭が悪いのではなく、具体が入っていないだけ」
➡第6回 「受験勉強が悪いのではなく、勉強のイメージが偏っているだけ」
➡第7回 「受験勉強の意味を考えてみる①」
➡第8回 「受験勉強の意味を考えてみる②」
➡第9回 「受験勉強の意味を考えてみる③」
➡第10回 「自学力の育て方① まずは歯を磨くように勉強する」
➡第11回 「自学力の育て方② 先取りは目的が大事」
➡第12回 「自学力の育て方③ 自学力が備わってきた子のイメージ
➡第13回 「自学力の育て方④ 禍福は糾える縄の如し」

学年が進むにつれて勉強が楽しくなる、後伸び力の育て方(第14回)

●書籍名:「名門公立高校受験道場流 自学力の育て方 受験突破だけで終わらないために」(KADOKAWA) ●著:名門公立高校受験道場 ●発売日:2021年11月19日 ●定価:1,540円(税込) ●書籍の詳細・購入はこちら

学年が進むにつれて勉強が楽しくなる、後伸び力の育て方(第14回)
─ 表現力を養う「こども美術教室」 ─
東京藝大院卒・女性講師が行う、芸術コースも併設。幼児~中学生対象の「こども美術教室」や「クレイクラフト教室」のレッスンを行っている。カリキュラム消化やコンクール対策に追われることなく、表現したいものをのびのびと描ける生徒を育てる。体験レッスンは2,000円(税・材料費込)。申込みは「アトリエ本楽寺」HPより。学習塾と美術教室の併設型は、県内ではここだけ。
DATA

かほく市宇野気リ207-2
TEL/076-283-2861 受付/10:00~22:00 
休/なし P/8台
公式サイト
塾長ブログ

INFORMATION

●金大附属、泉丘、二水高校を志望している生徒限定の進学塾。●少人数制の集団授業を行い、小学生は算国、中学生は5科を指導。入塾テストあり。●小学低学年コースを開講。週2回の授業と、それ以外の日は自由に通塾可能。座席に限りがあるので、問合せを。●対象/年少~中学3年

※掲載されている情報は、2022年3月以前に取材した内容です。時間の経過により実際と異なる場合があります。

進学塾 寺子屋本楽寺で幼児・低学年から育む自学力 一覧

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