【ちぃ散歩de金沢発見-12-】石川県立歴史博物館で開催中の特別展「世界のかわいい衣装」に行ってきました。



今回の特別展では、ヨーロッパ、アジア、アメリカ、オセアニア、アフリカ、石川県の子どもの衣装というように、地域ごとの多様な装いが展示されています。まるで海外旅行をしているような気分で、地域ごとに異なる刺繍や織りの技法、衣装に込められた意味を知ることができます。

色彩の渦に呑み込まれそうになりながら、展示品を見ていくと、驚くほど細かい織りや美しい染め、幾何学的な文様や、動物・植物の形を刺繍で表現する多彩な手仕事の数々に圧倒されます。

展示されている衣装をじっくり見るだけでももちろん、知的好奇心が刺激されて楽しいのですが、やはり知識や問いかけがあるとさらに展示品を見る眼差しが変わるというもの。
展示品の横にびっしりと書かれた説明書きはとても興味深く、「民族衣装ってかわいい」という気持ちの、その先を感じられる気がします。
例えば、中国の少数民族・ミャオ族は、かつては自分たちで衣装を作り、衣装の新旧によって、新年を迎える際やお祭り、婚礼時に着る「晴れ着」、「よそゆき着」、「労働着」、手拭き布や紐となる「ボロ」へと用途を転用してきました。しかしこの20年ほどでミャオ族の人たちは染織をおこなわなくなり、洋装を普段着とするように。まだ祭りや婚礼の際には、ミャオ族の衣装を着なければならないという規範が残っているそうですが、大変きらびやかな晴れ着の衣装は、従来のような転用のプロセスを辿ることなく、クローゼットに溜まっていく一方であるそうです。

またもう一つ、印象に残っているのは、グアテマラとメキシコの民族衣装・ウイピル(貫頭衣)が並んでいる展示です。手織り布2枚をはぎ合わせたグアテマラの衣装(写真:右)と、機械織りに刺繍が施されたメキシコの衣装(写真:左)が展示されていました。

2枚の手織り布をはぎ合わせ、伝統を踏襲したグアテマラのスタイル。機械織りの一枚布を使用し、手織りの文様ではなく刺繍表現が多いメキシコのスタイル。どちらも同じように美しく、膨大な時間を費やしたのだろうと想像が膨らみます。
手織りが良いとか機械織りが楽とかではなく、自分たちの民族の文化を表すためにさまざまな手法があるのだなと、その対比を面白く感じました。
また一言で「刺繍」や「織」といっても、さまざまな種類・技法があること、同じ民族でも地域によって独自の文様があること、民族衣装にも流行があることなど、たくさんの「知らなかった!」に出会うことができました。パネルの説明がとてもわかりやすいので、刺繍や織物に興味のある人は必見です。

映像資料が多いのも嬉しいポイント。下絵もなしにスイスイと手を進め、刺繍をしていく女性たちの姿には羨望の眼差ししかありません。(ちぃ子は本当に裁縫が苦手…)
石川県内に伝わる、たくさんの布をパッチワークのように縫い合わせた「百徳」という着物は、作る際にできるだけ多くの人から布をもらう習慣がありました。これは多くの力で子どもを加護してもらおうという意図があったようです。

私たちのもっとも身近にあり、人間の普遍的な行為の一つ「装う」。環境や文化的背景、また昨今は自己表現の手段としても用いられています。世界の国々のかわいい衣装を愛でながら、自分らしい装いや「かわいさ」についても、考えを巡らせるひとときとなりました。
ひとりでじっくり愛でるもよし、友人やカップルで感想を言い合いながら楽しむもよし。会期は11月8日(日)まで。お出かけがしやすいこの時期に足を運んでみてはいかがでしょうか。


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