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【イシカワズカン】農家民宿「梅茶翁」|山城誠次さん

2024年2月1日(木) | テーマ/エトセトラ

〈 イシカワズカンとは… 〉
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東京から能登町へ移住し、豊かな里山に囲まれた小さな集落で農家民宿を営む人がいる。『梅茶翁(ばいさおう)』の山城誠次さん(49)=都内出身=だ。元々、都内で飲食店を経営していた山城さん。多忙な日々を過ごしながらも、普段使っている食材がどんな環境でどんな風に作られているのだろうかと考えるようになり、もっと食の安全や根っこのところから調理に携わりたいという思いを抱えていたという。

「できれば食材の生産や栽培も自分の手で行いたい。でもそれは東京では難しい」。葛藤の中で、旅行で訪れた能登。海の風景に感動し、ここで自分の手で育てた食材を使い、人々をもてなす宿を営みたいと、2016年に能登町へ移住を決めた。

移住後は、畑を借りて米や野菜づくりをスタート。

「パーマカルチャー」と呼ばれる持続可能な循環型の農業に興味があったことから「自分にできる範囲で農薬を使わない農業をしたい」と無農薬で無肥料の自然農にこだわった。畑を借りていた方の兄弟が高齢化により放置されていた梅の木も借り、管理しながら梅干しや梅シロップなどもつくった。他にも漁のいろはを学びたいと、地元で定置網漁を行う会社で、漁師として働いた。

そして、移住支援をする人から、築約200年になる物件を紹介される。移住時からの夢への一歩となる、カフェ『梅茶翁』を2018年にオープンする。自家製の梅シロップが看板商品の移動販売店『かき氷専門店のらび』も開店。宿泊業を取得し、建物の整備をしながら2022年にカフェ&農家民宿『梅茶翁』として本格的に営業を開始した。

店で提供するものは、自家栽培の米や野菜をメインに、調味料もできるだけ自家製を用いている。人工甘味料や添加物を使わず、素材そのもののおいしさや自然のチカラを伝えたいと尽力する。「能登の人たちは優しいですね。無農薬で米や野菜を栽培していることに理解を示してくださり、助けていただくことも多いです。僕は移住者なので旅の人という意識もあるのですが、だからこそ見える能登の魅力を発信したい」と話す。

山城さんは、食ばかりでなく、暮らしそのものにも手をかける。「冬の能登は湿気が高く、非常に寒い。天気もいつ晴れるの?って思うくらいいつもどんよりしている」。暖を求めて、灯油ストーブを3台置いていたが灯油代がかかりすぎたため、ロシア式暖炉ペチカに変えた。ゼロから手作りして、制作の過程にはワークショップも開催し100人ほどの人が参加して完成となったが、結局、あまり温かくならなかったため、焚き続ける必要がなく保湿性の高いメイスンリヒーターへと作り替えた。この一連の作業を移住希望者に開示して体験してもらっている。「本当の暮らしを知ってほしい、その上で困難に思えることも楽しむコンテンツとなりうると体感してもられば」と話す。

「一つひとつ、やってみて、自分のできることを増やしていきたい」と様々なことをDIYで解決していく山城さんに、今後、取り組みたいことは何かと伺うと、「林業」と答えてくれた。「ヒーターを作ったことで、薪の調達について考えたことがきっかけです」。

「薪をとりに山に行くと蔓が生い茂り、立ち枯れの木々がたくさんあります。実は定置網漁でも数年後には魚が取れなくなるというデータがあるんです」山が荒れると海が荒れると漁師言葉でも言われるが、山の栄養が海へ流れなくなることで、海の植物プランクトンや海藻などが減少し、それを食べる魚たちも減ってしまう。

持続可能な農業へ取り組む山城さんにとって、今も林業の講習会に参加しているが、山の手入れをすることで豊かな自然が広がる里山と里海を保全し、調達した薪を燃やした際に出る灰は、藍染に使用したり畑に肥料として撒くことで、資源を循環させた暮らしを実践していきたいという。

そうした取り組みに興味を持ち訪ねる人や、移住希望者の受け入れも行なっている。山城さん自身、移住する際には町の制度や移住体験プログラムを活用したが、今は里山でのんびりとした生活を提供することで、実際の移住を促進している。


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※掲載されている情報は、2024年2月1日以前に取材した内容です。時間の経過により実際と異なる場合があります。
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